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    中欧 世界初のポスター美術館があるポーランド 2022-10-28


    ©Maciej Leszczełowski / Warsaw Tourist Office

    第二次世界大戦の帰結として、鉄のカーテンの東側陣営として歴史を歩むことになったポーランド。ソ連の影響下に置かれ、一党独裁により硬直化した政治体制と破綻した経済政策による混乱に長年苦しみました。

    その一方で、グラフィックデザインの分野では体制迎合的な社会主義リアリズムという創作方法を脱却したのち、大衆に受けるデザインを選ぶ商業的必要に迫られないことも幸いして、独創的で斬新な表現が花開きました。

    1950年代後半から70年代にかけてポスター群を制作した一派は「ポーランド派」と呼ばれ国際的に高い評価を受けるとともに、世界中のグラフィックデザイナーに多大な影響を与えたとされます。

    なかでも映画の宣伝予告用に作られたポスターは一際異彩を放っており、特筆に値します。ポーランド派が隆盛を極めた1960年前後は、アンジェイ・ワイダ、イェジー・カヴァレロヴィチといった自国出身の映画監督(彼らもまた「ポーランド派」といわれます)が頭角を現した頃と重なっています。同時に、当局の検閲こそあれ米国や西欧諸国、そして日本の映画が上映されるようになった時期でもあります。

    映画のテーマを再解釈して生み出されたであろうポーランド派のポスター群には、全般的に次のような特徴がみられます。

    自由奔放でダイナミックな構図、絵画やイラストレーションの偏重、
    寓意や隠喩による幻想的なモチーフ、時としてグロテスクな様相、
    民衆芸術にも通底するカラフルな色彩、控えめな文字情報……

    ポスターそのものが鑑賞者を意識してメッセージ性を強く込められたアート作品として成立していたと同時に、全国各地の街中にあるスタンドに貼り出されて一般市民の日常風景に溶け込んだごく身近なメディアでもありました。文化宣伝ポスターにすぎないからと緩められた検閲の目をかいくぐり、政治・社会批判を暗に示すことができていたのです。

    上記のような背景を持つポーランドですが、首都ワルシャワの郊外にはポスター専門の美術館があります。設立されたのは1968年で、現在の所蔵作品数はなんと5万5,000点以上にのぼるとか。体制転換後には「ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ」(1966年創設)の会場機能が移ってきて、2年ごとに世界各地のグラフィックデザイナーが参加する国際公募展の舞台にもなっています。

    残念ながら2022年10月現在は改装作業のため休館中ですが、2023年には展示を再開予定とのこと。隣接するヴィラヌフ宮殿と庭園の散策がてら訪れてみてはいかがでしょうか。

    ヴィラヌフ・ポスター美術館(Muzeum Plakatu w Wilanowie)
    [住所] ul. Stanisława Kostki Potockiego 10/16, Warszawa, Poland
    [公式URL] http://www.postermuseum.pl/en/


    ©Piotr Syndoman / Warsaw Tourist Office