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    バルト三国・北欧 リガ生まれのヴィンテージ食器たち 2023-01-13


    ©Mārtiņš Batrags & VK / rigasporcelans.lv

    ソ連時代にラトヴィアから連邦各地に食器を供給した「リガ磁器工場(Rīgas porcelāna rūpnīca)」。一般家庭の食卓で長年にわたって愛用され、バルト三国を中心に旧ソ連地域の蚤の市でもお馴染みの出品物となっています。その歴史を紐解くと、原料や燃料の輸入そして完成品の輸出に最適な港湾都市としての地の利に着目してリガで興った二つの陶磁器工場が1963年に合併したことで誕生したものでした。

    ◆クズネツォフ工場
    古儀式派ロシア人のシドール・クズネツォフが1841年にリガにて開業。ロシア伝統工芸品として有名な「グジェリ陶器」で知られるモスクワ近郊のグジェリ村などから古儀式派の職人が多数移住してきて、スズ釉陶器のセミファイアンスや磁器の生産に従事。
    <1940年ソ連併合後> 合併前まで「リガ磁器・ファイアンス工房」として稼働。
    <1991年独立回復後> ラトヴィア=スイス合弁会社として再出発するも、1997年に廃業。2016年に工場が解体、約10ヘクタールの跡地に建設された複合商業施設AKROPOLEが2019年に開業し、残された煙突やファサードの一部が目印となっています。

    ©AS Merko Ehitus

    ◆イェッセン工場
    ドイツから移住してきたヤコブ・イェッセンが1886年にリガにて創業し、当初から蒸気機関を導入して近代的量産化を推進。主にバルトドイツ人富裕層向けの高級食器の生産のかたわら、絶縁用のがいしやヒューズの製造なども行う。1939年の独ソ不可侵条約に基づく合意で、ドイツ系職人が流出して一時閉鎖。
    <1940年ソ連併合後> 合併前まで「リガ磁器工房」として稼働。
    <1991年独立回復後> 「リガ磁器株式会社」として再出発、1996年に「イェッセン磁器」に改称したのち、2003年に廃業。

    リガ磁器工場の代表製品といえば、6人用のコーヒーセット・ティーセット。後期には金色の装飾をあしらった華やかなものが多く、1970年代以降は軽量化技術の向上により薄く非常に軽いのが特徴です。ファイアンス焼きも1968年まで生産が続けられ、吹き付けられたくすみカラーにぬくもりが感じられます。

    ちなみに隣国エストニアでは窯元が開かれなかった代わりに戦間期にドイツから輸入した白無地の磁器に絵付を施す産業が盛んになり、リガ磁器工場の製品にもエストニア人絵付職人が手掛けたものがあります。

    ©Mārtiņš Batrags & VK / rigasporcelans.lv

    リガ旧市街にひっそりと佇む「リガ磁器博物館」は約8,000点に及ぶ製品を収蔵しており、現在は途絶えてしまった陶磁器生産の歴史を目で学ぶことができます。フィギュリン(陶磁器製人形)も多く展示されていて、その素朴な愛くるしさに心ときめくこと間違いなしです。

    リガ磁器博物館(Rīgas Porcelāna muzejs)
    [住所] Kalēju iela 9/11 (Konventa sēta), Rīga, Latvia
    [公式Facebook] https://www.facebook.com/porcelanamuzejs/