Photo by Marek Piwnicki on Unsplash
今からもう十年以上前の話になりますが、ロシアの飛び地カリーニングラードからワルシャワを経由してバルト三国を周遊したことがありました。
ポーランドと旧ソ連のバルト三国との間で軌間幅が異なることもあって鉄道アクセスは良くなく、同地域を移動するのにもっとも便利なのが長・中距離バス。
もちろん航空便が最短最速にちがいありませんが、空港まで行き来する手間や離着陸の気圧変化で耳が痛くなりやすい体質には厄介だったり。
バスは路線網が広範囲に及んでいて、市街地の比較的中心にあるバスターミナル発着で運行本数も多いので身軽な個人旅行者にはうってつけです。
若気の至りか、はたまたバックパッカー気取りか、空港泊を挟みつつホステルを渡り歩くという強行スケジュールの旅。
足が棒になるまでカリーニングラード市内を歩き回って、昼下がりにワルシャワへ向かう国際バスに乗り込んでいざ出発。
国境検問所で一時間半も足止めを食らったのち、心地よい疲労感と単調に続くバスの揺れが相まってぐっすり熟睡してしまいました。
まぶたの向こうにほのかな赤みを感じてカーテンをめくると、バスはいつの間にかポーランドの広野の中を走っています。
語源的に「平原の国」と解されるポーランド。見渡すかぎりの小麦畑がわずかにゆるやかに波打ちながら、まばらな木立ちの群れが後ろに流れていきます。
平地がきわめて少ない日本列島で生まれ育った自分にとって、地平線が見えるという体験をしたのはこのときが初めてだったかもしれません。
そして小ぬか雨が降ったあとだったようで、紫がかった暗雲が垂れ込むオレンジ色の夕映えの空に架かった虹は言葉を失うような美しさでした。
(当時コンデジで撮影した画像を見返してみましたがあまりきれいに映っていなかったので、冒頭の画像はイメージになりますがまさにこのような光景でした。)
* * *
さて、ポーランドやバルト三国の長・中距離バスには車内無料Wi-Fi・各座席モニター・トイレ付きの高級車両もあって、日本の高速バスに勝るとも劣りません。
夏場でも天気や時間帯によっては車内は肌寒いことがあるので防寒着は必須ですが、ほかの手段では行きにくいルートも可能になるバス移動を検討してみてもよいでしょう。
列車の車窓から見える景色も風情があって面白いですが、街道を走るバス(あるいは専用車でも)からはその国の原風景をより間近で見ることができますよ。
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