都市に入れるのは関係者とその家族のみ。人、情報の出入りが厳しく制限されたことから『閉鎖都市』『秘密都市』と呼ばれました。
ラトビア西部、バルト海沿岸の港湾都市リエパーヤの街の中にある軍港跡カロスタ地区もその一つでした。

カロスタの軍港は、ロシア帝国に支配されていた時代に『アレクサンドル3世海軍基地』の呼び名で建設され、バルチック艦隊の拠点として活躍していました。日露戦争の際にはこの港から日本に向けて出港したそうです。
ソ連時代になると、ラトビア語の『カラ・オスタ(軍港)』を省略した『カロスタ』という呼び名になりました。軍港であったために閉鎖都市とされ、リエパーヤの民間人はカロスタ地区への立ち入りが禁止されました。
ソ連の崩壊とともにカロスタは開放され、現在では帝政時代の建物や、軍港要塞の廃墟が残る観光地となっています。

そんなカロスタ地区には、ロシア帝政時代に水兵の懲罰房用に作られ、1997年まで使用されていたカロスタ刑務所があり、現在は博物館として一般公開されています。


このカロスタ刑務所、なんと独房に宿泊することが可能です!囚人用の朝食付き!
団体向けには囚人体験ツアーも実施されています。
役者の看守がつき、宿泊客は囚人として収監され、ソ連時代の囚人と同様の扱いを体験することができます。


ツアーの申し込みにあたり、同意書を提出するのですが、
『規律と秩序を守ること』
『規律を守らない者は注意や命令(罵倒)を受けることがある』
『命令を履行しない者は懲罰(腕立て・清掃・追放)を受ける可能性がある』
と、なにやら不穏な文言がつらつらと書かれています。



尋問、罵倒、懲罰・・・囚人と同様の扱いを受けながら過ごす1晩。決して忘れられない夜になるでしょう。